水今novels

ちびブログです

そういう話はわたしが帰ってからしてもらえますか

両手で顔を覆った君は白いソックスを履いた両足をぴんと伸ばす

僕はどうにか苦笑した

彼女は押し黙っている 鋭利なナイフのような一語を漏らさず

勇気をふるって 自分の右足をおそるおそる君の爪先にくっつけた

君はすぐに足を引っこめた 

君は誰よりもクレバーでネガティブでセクシャルでアグレシブ

しかしどうしたものか

君はこの部屋まで薄紫のゼラニウムを持って訪ねてくれたし

台所にはジェムソンの瓶と氷と水がたっぷりあるし

君は酒に溺れて君をないがしろにした静岡のご母堂に愛憎たっぷりだから

僕がビール1本飲むだけで もう酔っぱらってるんですか

すごくすごく厭そうに言う

もうすぐこの部屋に夢幻のような8本足の生きものが生まれる

その生きものは君の耳元で囁く

君のママ しょっちゅう酔っぱらってたから 

今 君がここにいるってこともあるかもよ

こんな風に睨まれたことは生まれて初めてかもしれない