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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

ひばり

金曜日。

明日は名曲喫茶番だから、いささか寝不足だけど、早めに起きた。

窓を開けると、完全な、完全に、完全の春がやって来ている。それはもう、あまりに明白で、もっとも本来的な冬の寒さを懐かしむこともできないくらい、確固としてそこにいる。

春に、そこここに咲き誇っている桜に、飛び回っている鳥たちに文句をつけることはできない。受け入れるっきゃない。受け入れて、慈しむことができたら、愉しむことができたら、遊ぶことができたらなお良い。

昨日、ハイドン弦楽四重奏『ひばり』を大音量で聴いていた。控えめに言って、凄まじい音楽である。いったい、どうしたらこんなに、自然界そのもののような、調和と瑞々しさとを、4本の弦楽器で、虚飾なく、公正に、ごく美しく生み出すことができるのだろう。ハイドンにはいつだって全面降伏である。とくに、こんな風に春の気のみちみちた午前には。なまぬるい気体(のようなもの)になってしまいたくなる。なりたければ、いつかなれるかもしれない。

なろう! なろう! 明日なろう! 明日はひばりになろう!

はあ。春はしょっちゅう溜め息が漏れます、ね。