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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

遁走曲「秋の朝に」

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そんなタイトルを携えて、こけら落とし前めいた心持ちで、わざわざ時計のアラームを午前7時にセットしたのは、いつものように午前8時に起きると、身支度などでここでの記述に費やす時間が5分も取れないからだが、じっさい、こうして1時間ばかり早く目覚めて、寝惚けまなこで、暗く狭い押し入れにそっともぐりこんでみても、まとまったこと、誰かの役に立つかもしれないこと、誰かの興を引くようなことを記せる気が全くしない。このまま開店直後のドトールに赴き、薄いコーヒーを飲みながら、スマートフォンに指を滑らせていたほうが、よほど身軽に更新できそうな気がするのだった。

 

でも、自分には押し入れの方が合っているらしい。しかし、今朝はガス台点火機の電池が切れてしまい、ガスの火がどうやってもこうやっても点かないのが痛い。こういう時のためにも、たとえ煙草を喫わなくなっても100円ライターは常備しておくべきだろう、と、自分を戒めた。

今、自分の手で淹れた熱い濃いコーヒー(豆はある)、あるいはどくだみ茶(ティーバックはある)、あるいはブラックカラントティー(茶葉はある)に、自分でもロウバイするくらい飢えている。それらを飲むことなしには、この記述を最後まで記すことができないような気がしているほどだ。記しているうちに、ますます飲みたくなってきた。そういうわけで、今朝からイヤになるほど点火機カチカチ試みてきたが、ラスト、もういっぺんだけ試してきます。

……やはり駄目でした。仕方ないので、水飲みます。ごくごく。水は不思議な飲みものだ。心からそう思う。何しろ、ここにおける記述の総称にしているくらいなので、「水」についてはイッカゴンあります。それはさて置き、

そろそろこの押し入れから出て、靴ひもを固く結んで、チャコールグレーの分厚い雲に覆われた空のもとへ飛び出そう。そして浮かない顔して、見慣れたいつもの道を歩いて、店へ向かう。3連休における名曲喫茶勤務3日めが私を待っている。持ってきた数枚のレコードから1枚をターンテーブルに乗せ、そっと針を落とすと、例によって針が埃を優しく愛でる音の後、突然、蒸気機関車のように煤けたホーンが流れ出すだろう。それが名曲喫茶的ファンファーレ。ぱんかかぱんぱん(ブラームス・ホーン組曲より)