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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(4)

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夕方、近所のみんな大好きお菓子店『foodmood』(カフェ併設)で母とともに頂いた「桃のシフォンサンド」と自家製ジンジャエール。

シフォンサンドは桃が見た目も味もともに瑞々しく、きめ細かい生クリームとしっとりとしたシフォンと絶妙なる三位一体を成していて素晴らしい。自家製ジンジャーエールは、雑味のない生姜の刺激と爽やかな炭酸水と、きりりとしたレモンの酸味がこれまた三位一体、素晴らしい。三位一体、便利すぎる言葉である。今後は使わないようにしよう。

 

さて、今日は母が先日発表になったばかりの、比類なきアイフォーン7の予約に付き合う約束をしていたので、駅前のDoCoMoに一緒に赴いた。それほど待つことなく、すんなりと受付に通された。だが、予約開始(16時)からまだ1時間も経っていないというのに、すでに100件以上予約が入っており、発売日(16日)当日に手に入る可能性は「きわめて薄」とマスクをかけた女性店員さんは苦しそうに述べた。念のために訊いてみたのだが、別の色、別の形状、別の容量のアイフォーンをチョイスしても、同じことだという。「一切合切品薄」。さすがアイフォーン、凄い需要である。

そんなアイフォーン需要オーバー狂騒をやや冷ややかな視線で眺めていたつもりになっていた私も、いざ家電屋さんで実機を目にしたら、いてもたってもいられなくなってしまうかもしれない。Apple製品、とくにアイフォーンには、そうしたフォースが確かに宿っている。しかし私は今月、アイフォーンの本体価格と同じくらい散財しているような気がする。ゆえに、アイフォーンくらいは我慢しなきゃいけない。私のアイフォーンはバッテリーがかなり摩耗し、残りHD容量もかなり少なくなっているが、それでもあと1年は替えずにいようと思っている。なにしろ、僕にはスマホよりも必要なものがゴマンとあるからな。ゲーム機とか、本とか。お酒とか、布団とか。先日、自転車も新調したばかりだし……。

 

さて、今日も押し入れの中に居ながら、とてつもなく詰まらぬワタクシゴト方面に話が向かってしまっているようだ。もうしばらくしたら、このようなワタクシゴト状態からも抜け出すことができるのだろうか?

これまでの10年できっと1500記事くらいのブログを更新してきたはずだが(自慢ではなくてたんなる事実である)、私はいったいぜんたいそんなに何を記していたのだろう? 遡れば思い出せるだろうが、遡る気になれない。きっと近所の団地の屋上に焼きそばパンと缶コーヒーを持って上がりたい、とか、たまに公園のあずまやで喫う煙草は旨い、とか、熱海に行ってどうしたこうした、とか、ろくでもないことをたっぷり記してきたのだろう。

しかし、この狭くて暗い押し入れの中にいると、今の私にとってリアルなことがいったい何なのか、ようわからんくなってくる。昨日の私が今日の私。明日の私が昨日の私。今日の私はずっと昔の私と確かに繋がっているはずだ。冒頭の桃のシフォンサンドを食べている時も、アイフォーン狂騒を眺めている時も、暗闇の中にじっと目をこらしている時も、私はそんなようなことを確かに感じている、はずだ。ふいい……(ため息)。

何はともあれ、明日は名曲喫茶為事。確保している睡眠時間はあと5時間半。名曲喫茶はクラシック音楽と静寂とコーヒーの香りにみちみちた戦場だ。戦場であると同時に、揺りかごでもある。私は慄きながら安寧を感じているだろう。いつものように。