水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(2)

f:id:lovemoon:20160907163812j:plain例によって、押し入れん中で記しています。

これまで、押し入れには文庫本や携帯ゲーム機やノートパソコン、あるいは酒瓶を持って気ままに閉じこもっていたのだが、先日、諸事情あって、愛用しているデスクトップPCとキーボードと、決して小さくはないモニターを中に運び入れることになった。「本気か?」と思わずひとりごちてしまいましたが、本気でした。なので、今後、押し入れではこれを記すことくらいしか(ほとんど)出来なくなってしまった。コーヒーカップを置く場所を確保するのも難儀です。まあ、自分の好きでやってることなので文句は言えません。

そういうわけで、このブログはしばらく押し入れの中で記されることになります。(誰も気に留めない宣言が押し入れの中の闇に吸いこまれていく……)

だからって、わざわざ「押し入れ部屋から」なんてタイトルを付けるのも詮無きこと、という気もするのですが、再開してからまだ間もないことと、この押し入れの中に居られるのもきわめて限定的な期間であるため、あと数日——目標としては押し入れの中に居ることをすっかり意識しなくなるまで——このタイトルでいこう。「いつでも/どこでも更新」をモットーとしている当ブログの内容が、押し入れ的気分に引っ張られないことを願うばかりです。

 

さて、冒頭の写真は僕が愛する多摩センターの天然酵母パン屋さん『木のひげ』の「ひよこ豆と杏のタルト」でありまして、ぎっしり詰まったひよこ豆の重量感と、干しアンズの自然な甘味が絶妙に融け合い、それらを全粒粉のタルト生地が包容力たっぷりに包みこんでいる逸品です。ちなみに母の名誉の為に言うと、母が買ってきてくれました。

昨日は押し入れから抜け出し、これを焼いて食べながら、だらだら汗を流していました。おともに熱い濃いコーヒーを飲みたかったのですが、4年前に名曲喫茶を始めてからというものの、自宅で、自分のためにコーヒーを淹れる習慣がほとんどなくなってしまったので(きっとコーヒーが商売道具になったことと、週末に飲みすぎているからだろう)、豆を所有していませんでした。どくだみ茶で我慢せい。

 

さて、素敵なタルトの写真に引っ張られて、本文が他愛ない、とりとめもない方向へ展開していきそう気がしますが、そもそも、今日はしっかと記しておきたいことが確かにあったように思います。少なくとも、今朝はありました。それは今朝見た夢に関係することだったはずだ……と言っても、これは夢日記ではないので、漠たる夢の内容をスケッチしたいわけではありません。詩をしたためたいわけでもありません。昔から、他人の夢の話と痴話喧嘩と下手な詩は猫も舐めない、とよく言いますし。

ここ数日の自分の移動、心持ち、人との出逢い、興じたゲーム、聴いた音楽、読んだ本、不安定な気候諸々が、泡となって、飛沫となって、弾け合い、集積し、巨大な高波を生み出していた。波の姿は、目覚めた世界ではうまく認識することができない。でも眠りこけて、ノイズたっぷりの雑念みたいなものから逃れることによって、ようやく、ぼんやりと、その姿を識ることができる(こともある)。

しかし、さすがに夢である。目覚めて数時間も経った今、自分がどんな夢を見ていたのか、何を得心したのか、さっぱり。夢の内容とアトモスフィアをすっかり憶えていて、夢も現実もすっかり綯い交ぜになっているような気分になったり、啓示(のようなもの)を受けたような気になることもたまにはあるが、今日はそういうのではなかった。

いずれにせよ、新しい自転車の存在はかなり大きい。それは確かだ。移動は、時に重たい扉を開いてくれることがある。今はそういう時期なのだろう。自室に居る時はなるべくこの押し入れの中にいて、心を彷徨わせ、自転車に乗っている時はあちらこちらに出向き、週末は有り難い名曲喫茶仕事にもっともっと専心できれば尚良い。

それでは、明日も(うまくいけば)夜の押し入れからお届けしたいと思います。ご拝読ありがとう。