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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

曇り空、ゆえにモーツァルト日和

おはようございます。ここ数日、子牛ともに、もとい、公私(公と私の区別はよくわからないが……)ともに忙しく、先刻3日ぶりにこのブログを開いてみたら、昨年記した五嶋みどりさんのショスタコーヴィチ演奏の感想記事にコメントを頂いていました。

初めてコメントくださったrokuさん、ありがとうございました。嬉しく、興味深く拝読しました。当方、今朝はいささかバタバタしているので、お返事はのちほどゆっくり、改めて記させて頂きます。

《本文》

「バタバタしている」と言いつつ、あと15分で出立しなければならないのにもかかわらず、猫に餌をせっつかれつつ、沸騰してぴぃぴぃ鳴いているヤカンを無視しながら、これを記しています。優先順位的に、他にやるべきことが少なくとも3つはある気がするのですが、とくにそうするべき理由もなく、これを記しております。

と言っても、何か急いで記しておくべき事項があるわけではありませぬ。珍しく雲行きが怪しいこと以外は表向き、いつもと同じ土曜日です。1時間支度し、7時間店を開け(その中にはバタバタもぼんやりもたっぷり詰まっております)、1時間片づけし、何かしらに思いを馳せて帰宅します。帰宅する前にちょこっと何処かによって1杯ないし2杯きこしめしたり、母親や友人と夕食をともにすることもあります。でも、とにかく遅くとも9時には帰宅します。そうして翌日(日曜)も7時に起きます。支度します。出かけます。名曲喫茶を開けます。そういう幸福な2日間であります。

 

それで……それで? 何だっけ? そういつもと同じ土曜日。雲行きは……(窓を開ける)ああ、怪しい。今にも泣き出しそうなくらいにぐずぐずしてやがる。一般に、雨は飲食店(とくに純喫茶店)の集客を6〜7割落とすと言われる。そういうわけで、まっとうに考えたら今日は多分閑だろう。毎週、他所に焙煎をお願いしている日替わりコーヒーの豆を全部使いきれる自信がないが、余ったら自分で飲んでしまおう。雨っぽい寒い日はコーヒー日和。それは認めなくちゃならない。

こうしてここに無内容なことをつらつらと記述しているうちに、私は、自分では全く気づいていなかった自分の心身的状態が薄ぼんやりと自覚されるのを感じる。今日、店に着いたら最初にターンテーブルに載せるべきレコードのジャケットが朧げに浮かんでくる。独断と偏見で、今日はこれにしよう。

モーツァルト:後期6大交響曲集

モーツァルト:後期6大交響曲集

  • アーティスト: カザルス(パブロ),モーツァルト,マールボロ音楽祭管弦楽団,プエルト・リコ・カザルス音楽祭管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2006/06/21
  • メディア: CD
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パブロ・カザルス指揮のモーツァルトはどれも素晴らしいが、やはり第40番とジュピターが一線を画しているように思う。

このレコードは聴きすぎて擦り切れてしまったから、新品CDを購入したいところだが、なんとなく延び延びになっていた。モーツァルト楽曲の購入は比較的延び延びになってしまう。なんとなく、いつでも買える気がして安心してしまっているのかもしれない。しかし、その安心はモーツァルトの音楽を聴いた時に響くあのとくべつな感銘を少しも減ずるものではない。

今日はもう時間がないのでモーツァルトという巨大な音楽家(とその音楽)について一席ぶつイトマはないが、本当にモーツァルトは凄い。凄すぎる。幼少の頃から、凄すぎてぐぅの音も出ないくらい圧倒されている。僕は小林秀雄御大の書く文章は大好きだが、「悲しみが疾走する」くらいではまだ納得できない。だけど、第40番に関してもあのピアノソナタ(何番だったか?)に関しても、他にぴたりと来る短いキャッチコピーは今のところ出てこない。とにかく、聴いていると「もみくちゃ」にされてしまう。もみくちゃにされているのだが、向かうべき道はしっかり指し示してくれるような親切心をたっぷり感じる。その親切心は故郷のように暖かく、天国のように美しいが、けっして押しつけがましくはない。なぜなら「他の道は選びようがない」ことがモーツァルトにも、カザルスにも、マールボロ管弦楽団にも、聴き手である私にもすっかり了解されているからだ。モーツァルトを聴くことは私にとって「幸福な降伏」のようなものだ。幸福だが、そこにはやっぱり悲しみに近い感情がたしかにある。いったい何が悲しいのだろう? 他に選びようがない、ってことが悲しいのか? まあ、いいや(放擲)。

では、喫茶為に行って参ります。