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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

1月が終わって2月が始まる君へ(きわめて後ろ向きな前方確認)

おはよう。じゃない、おやすみかな。こちらはもうすぐ午前零時になろうとしています。先月は「10日間の……」などとのたまっておきながら、月末2日間の喫茶仕事に従事しているうちに(忙しい2日間だった)、すでに暦が変わってた。やれやれだ。やーいやーい、言いなさんな。忙しない毎日、途切れないように記述(これ)を続けるのはとても難しいんだよ。

でもさ、実際はそれほど忙しないわけでもなかった。でもさ、あ、2回言っちゃった——新年を迎えてから、師走よりもひゅんひゅんのベルトコンベアーに乗ってるような気持ちで、心持ちにゆとりがないような感じはするやね。君は? どうですか?

1月終わって2月です。

それについて何か思うところはありますか。自分に関して言えば、少々あります。ふつーに、1月よりも迅速に日々が過ぎていくだろうな、とか。2月の日数が少ないってこともあるけど、それよりも、季節的に。体感的に。心持ち的に。あと、例年通りであれば1年でもっとも寒い月になるだろうね。実際、押し入れ部屋(僕の安息部屋)の底冷えがひどくて、むやみに潜ることができない今日この頃だよ。足先が氷みたいになっちゃう。

「冬が一番好き」とか「やっぱ夏って苦手……夏生まれだけど」とか問わず語りに呟いてたけど、今年の冬は「やっぱ冬は良いね(キラキラ)」ってウインクする気にあんまなれないな。そういう寒さ。いや、寒さのせいばかりじゃない。冬に対するこのちっとばかり白けた心持ちと体感は、自分の自分に対する白けた心持ちと体感を映し出しているっぽい。そんな気ぃしてきた。

 

さておき、今、僕は電気ストーヴに足を当てながら、こたつ布団と蜜柑と庭の雪景色のことをオートマチックに思い返しています。でもそれは幼少の頃、せいぜいが25歳頃までの冬景色だ。あの頃までの冬には、冬を冬たらしめてた「何か」があった。「しん」とした心持ちのようなものが。それと厚手の毛布に包まれているようなぼうとした暖かさが。それは毎年同じ毛布ではなかったけど、毛布のメーカーは同じ的な暖かさだったように思う。

だけどこの15年近くかなあ、あるいは10年くらい? 寒さでぶるぶる震えながら目覚めて、カーテン引いてばたんって勢い良く窓を開けても、何だかそういう毛布をろくすっぽ感じない。ただ「うう、寒い……」とか「雪降ってるな」とか思ったり、ひとりごちるだけで。歳のせいか? まったくイヤんなる。

早朝、まだ暗いうちに家を出て、北口の団地の屋上に上って、セブンで買った焼きそばパンをかじって熱い濃いコーヒーを飲んで苦重い煙草を1本喫えば、あの感じが戻ってくるだろうか? でも、戻ってくるとしても、俺はきっとそうしないだろう。今の寒々しさに慣れて、甘んじて、ある種の居心地の良ささえ感じてしまっている。これは耐性なのか、あるいは年の功ってやつなのか。いやいやいや、功じゃねえだろ。いさおさん。

 

それでこの10年というものの、たくさん走る(歩く)、たくさん呑む(たまにはコーヒーも)、たくさん記す(たくさん読む)を自分の保留信(ぽるしん)にして、出来る範囲で実践してきたんだけども。

例えば、さっきはうる寒い(超寒いってこと)中、近所を6キロひた走ってきたし(本当は10キロ走りたいけどシューズのせいで無理)、今はばたばたこれ(これだよ、これ)を記しているし、今日は久しぶりに断酒日にしようと思っていたんだけど、やっぱり呑みたくて首がこってきたから、これから帰ってくる母にメールでビール(大瓶)を1本お願いした。それをグラスの縁ぎりぎりまで泡少なめに注いで、「これだよ、これ」って満面の笑みで言いたいね。※しかし、母はビールを忘れたから自分でセブンイレブンに買いに行ったのだった。

ああ、今日でさえも、今日のような冴えない日でさえも、私は私を何となしに、忠実に守っています。守っている、というよりは、ムカデのように、形状記憶合金のように、あるいはトノサマガエルのように、そういう私になっちまってる。

偉い、とか怠惰だ、とか、依存です、とか好みだよ、とか、ようやるわ、とか、もう寝なさい、とか、そういうんじゃない。行為が私を形成してんだ。偉ぶって言えば。行為がその人そのものであるような人に私はなりたかった。いや、今もなりたい。尼さんとか(無理だな)、漁師とか(無理だな)、スポーツ選手とか(無理だな)、昔からそういう在り方にある種の憧れを持っていたように思う。最近はさ、空が高く開ける畑のそばをひた走っていると、ああ、この畑を毎日耕している人たちはきっと幸せだろうなって心から思うよ。でも、「じゃあどうぞ」って鍬を渡されたら、逃げ出しちゃうかもしれないけど。

 

しかし、でも、実際の、現実の、現在の私は……ああ、首がこってる。足も冷えてる……。じゃあ、今日はおふえりや遺文。君の今が深夜なら暖かい晩を。太陽が昇っていたら、暖かい午後を。ばい。