水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

アドルフ・ブッシュという名の暖かい泥(序)

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先週購入し、現在12枚めまで聴いたのだが(まだシューマンのソナタとバッハ『ブランデルブルク組曲』(小編成ver)が残っている)、喜びと懐かしさ冷めやらぬまま、フライングで「さわり」だけ記しておきます。

 

これはアドルフ・ブッシュのスーパー・ベストトラック集と言って差し支えないだろう。ただ、(あの極端に浮き沈み激しく、スリリングな)ライブ音源は1曲も収められていないので「完全版」とはとても言い難いが、この16枚のCDをひと通り聴けば、アドルフ・ブッシュという偉大かつチャーミングかつ、或る時代の象徴たる天才ヴァイオリニストの偉業を見通すことができそうだ。そして、おそらくはこれまでに聴いてきた数多くの音源が腕の良いエンジニアによるリマスタリングで、より耳心地良く解像度の高い音にアップグレードされていることが嬉しい。

というからには、ここでアドルフ・ブッシュさんの功績と魅力とこのアルバムに収められた楽曲についてつらつらと記すのがブッシュ・ファンの名曲喫茶店主たる僕の役目なのだが、今日はそのエネルギーに欠けている。

さらにブッシュのソロ(パルティータ)を聴き続けていたら、心身ともにずぶずぶと泥のような眠りへ導かれていきそうである。こんな泥人形状態で彼について中途半端に記すよりは、今日は16枚めまでただ無心で聴き惚れ、沈みこみ、明日からもっかい16枚全部聴き直し、さらにこのアルバムには未収録の曲が入っている後年のライブ盤(4枚組)を流しながらでないと、義息ルドルフ・ゼルキンに叱られてしまいそうだ(彼もとっくにこの世にいないけれど……)。

というわけで、続きます!

Complete Warner Recording

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