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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

吉祥寺にある『4ひきのねこ』という名前の花屋

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1番好きな花屋は?と問われたら、迷わずにここ『4ひきのねこ』を挙げます。

 

今日は母の誕生日の花束を作ってもらいにやって来た。

今も昔も、草花についてろくすっぽ知らない僕だが、初めて緊張しながら1人この店を訪れた時(たぶん90年代)、こちらの渋くて着こなしも素敵な店主は、上から目線でもなく、かと言って、花を知らぬ客に「教え諭す」という感じでもなく、じつに朴訥とした、芯の通った優しい語り口で、僕の選んだ白い薔薇を中心にした、見たこともないような花束を作ってくれたのだった。

花束を受け取り、おそるおそる「手提げ袋に入れてもらえますか?」と聞くと、「花は持って歩くもんだよ。そのほうが格好良いんだから」と言われた。

その大きな花束を持って吉祥寺駅まで歩き、花を庇うようにして混んだ電車に乗るのはいささか難儀だったが、大通りで風を受け、車内で目線を浴びながら、ずっと手に持っていると、たしかに花が喜んでいるような気がしたものだ。

 

ここに並んでいる花々も鉢も、店の雰囲気も昔からずっと変わらず特別である。いったい、他所の花屋と何がそこまで違うのだろう? そう問うてみても、なかなかうまく答えられそうもない。それでも、無理に言葉にするなら、

ここに並んでいる花や鉢たち全てが、それぞれに笑っていたり、悲しんでいたり、かしこまっていたり、威張ったりしているのが「見える」。いや、ここは慎ましく、「感じる」くらいにしておくか。でも、本当にそんな風に見えるし、感じる。

 

時おり、店主が中で煙草を喫うし、室内温度だって、大きな花屋の細かく温度設定された環境と比べて最適とは言えないだろう(あるいは、そうではないのだろうか?)。しかし、ここの花屋に並んだ花はこの店に居ることを素直に喜んでいるように見えるし、感じる。

花とは、本質的にとても正直で明るい生き物であることが「すっ」と腑に落ちる。そんな活き活きした波動がこの店の軒先から流れてきて、首のあたりをさわさわ粟立て、胸の奥に入ってくる。それはこの店の「花を見る目」によるものかもしれないし、あたかも小さな動物に接するような優しい心持ちで、花と接しているからなのかもしれない。あるいは店主の持つ天性のセンスと、長年育まれてきた経験や知恵の賜物なのかもしれない。そのあたり、草花にあまりにも疎い僕にはさっぱりわからないが。ただ、とにかく僕は理屈抜きでこの花屋さんが1番好きだ。これまでも、これからも。

 

ここまで書いたら、今日、作ってもらった花束の写真を載せるべきだろう。しかし店内だけ撮って、花束を撮るのをうっかり忘れてしまった。それで、母親のインスタグラムをGoogle検索し、無事に見つけ出したので、ここに無断転載します。

 

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ここ『4ひきのねこ』にご興味ある方、ぜひ1度お店に足を運んでみてください。僕のもどかしい記事よりも、実際に訪れたほうが(言うまでもなく)、遥かにこの素敵な花屋さんの魅力が心と身体にひしひしと伝わるはずです。

www.yonhikinoneko.com