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水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

お祭りの最終日。名曲喫茶にて

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開店前に掃除を終えて、iPhoneで撮りました。この時、店内も、店外も、夏の夢に現れるプールサイドのように、しーーーーーん。静まり返っていました。

 

それから数時間、この店が名曲喫茶らしからぬ、「怒濤の」すし詰め状態になろうとは、私は予期だにしていませんでした。思い返してみると、あの時間は、のろまでせっかちなこの身ひとつで迎えるには、いささか難儀な状況だったように思います。でもいらしたお客様方が、当店の在り様を理解してくださる(察してくださる)方ばかりだったので、混雑の中でもどうにかいつもの状態を保てて有難かった。

お祭りと祝日が重なって、毎年のように生まれる喧騒と混雑とお祭りムードの最中、この店に訪れてくれた方が、たとえ短い時間でも憩いと音楽にどっぷり浸れるような「心の庭」を当店にいらっしゃることで持てたなら、それは名曲喫茶冥利に尽き草。ここにいる私(すなわち当店)は、その憩いと静寂と音楽のために存在するのです。そのためなら、足が棒になろうと、生ける屍になろうと、私は気にしない。それが当店(すなわち私)の存在意義だもの……大袈裟ではない、と思う。

 

ここ数日、喧騒の中にぽつんと浮かぶ孤島のようなこの店で働くことで、この店の保留信(ポリシー)が改めて明確になったような気がしました。

僕は(すなわち当店)は、数名でいらっしゃる方よりも、お1人でいらっしゃる方を優先する。喋りたい方よりも、黙りたい方を優先する。そして、クラシック音楽に身と心を委ねていたい方の味方です。これまでも、これからも。そんな場所を願う方々の権利と安寧と居所を確保し、守りたい。そして、おいしいコーヒー(などなど)を入荷し、抽出し、焼き、煮込み、お出しする。リクエストがとくになければ、なるべくその時間を「立ち上がらせる」音楽を選ぶ。そういう場所こそが私にとっての「名曲純喫茶」というもので、そのような場所を心から必要としている人がまだこの世界にたくさんいらっしゃることを強く信じられるような4日間でした。すぐに来たるべき週末に備えつつ、とり急ぎ、今後ともどうぞよろしくです。