水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

水垣千悦さんのお猪口

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あれやこれやについて記す、と言いつつ、何やらお酒話ばかりが続いている当ブログです(こんなつもりはなかったのですが……今後に乞うご期待)。ところで当方、結構な酒好きですが、酒器にこだわっている、ということは全くありません。集める気もありません。気に入った同じものを使い続けるのが好きなンです。

でも最近、季節に応じて4つくらいはあると良いのかも、そう思うようになってきました。ワインやウィスキーと違って、酒器を替えて季節感や雰囲気を如実に反映/変化できるのが日本酒の強みでもあるし(ワインやウィスキーはその色みと香りを楽しむため、透明で薄張りのグラスを用いるといいます。僕もそれに異論を唱える者ではありませんが、ワイングラスみたいので日本酒を呑むのは情緒的にあまり好まないので、薄い透明の徳利があれば尚好しです)。

名うての酒呑みであり、江戸研究家である杉浦日向子女史のエッセイ(杉浦日向子の食・道・楽)には、1年ぶん、12種の綺麗な酒器が写真と小粋なコメント付きで紹介されていて、僕はよくその写真を眺めやりながら、「いいなあ。」って思います。

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個人的には日本酒を呑む時は、さほど大ぶりでなく、かといって小ぶりでもない(容量でいえば45ml〜50mlくらい)の陶磁、そして呑み口が底よりも広くなっているものが好みです。「こだわっていない」と書いたものの、やはり酒器は大事です。気に入らない酒器で飲むくらいなら、紙コップに注いだほうが、ビールにしても日本酒にしてもワインにしてもウィスキーにしてもよほど美味しく呑めるように思います。紙コップを侮ってはなりませぬ。私は紙コップには昔からずいぶんとお世話になっております由。

 

さて、本題。冒頭の写真は愛用している水垣千悦さんのお猪口です(昨日、寝しなにこれで『玉乃光』を呑んでいました。いつものように)。

strummer.exblog.jp

このお猪口、国立の『黄色い鳥器店』で出会い、購入してから、かれこれ5年くらいは使っているでしょうか。数年前から軽くヒビが入っているのですが、来るべき割れ散る日まで使い続ける所存。形状も呑み口も触り心地も一番しっくりくるのですよね。feel like coming homeってやつです。

ところで、この酒器に描かれている謎の動物(妖怪?)は何だと思われますか? いや、僕も知らないんですけど。お猪口だけに、猪かしら、とも思ったのですが、それはないか。まあ、猪さんでも山羊さんでも妖怪さんでも文句はありません。ともあれ彼(彼女)は道中、星を見るものです。私もかくありたい。 

杉浦日向子の食・道・楽 (新潮文庫)

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