読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

水と今

かくして君は待つ、ある人が現れるのを。君の命をとめどなく膨らませにやって来るのを。(リルケ)

『美女と野獣』を観た

当方、実写版ディズニー作品を映画館で観るのは初めてかもしれない。(DVDでは何本か観ているけど。) 何故にこの映画をよりによって封切り当日に観ることになったか。言ってみれば「たまたま縁」。エマ・ワトソンが好きで好きでたまらないとか、イケメン野…

嬰ハ短調的睡眠の希求

「春眠暁を覚えず」と言う諺とはウラハラに、春が到来してからろくすっぽ眠れていない。「不眠症」とまでは言わないまでも、浅い眠りで何度でも目覚めてしまうから、睡癒が得られない。ちなみに「睡癒(すいちゃく)」という言葉は、今、勝手に作らせてもら…

シューマンとエリオットの心響(私の場合)

唐突だが、昨日は不可思議な1日だった。 早朝から恐ろしく体調不良だった私は、かれこれ5年間ささやかに営んできた名曲喫茶を今日ばかりは臨時休業させてもらおうか(ほとんどないことだ)、あるいは無理に行って開けてみて、どうしても無理そうだったら途…

葉桜と紙巻き煙草のワルツ

大通りの桜はここ数日の激しい雨風でだいぶん散り去り、梢にはちらちらと若葉が混じり始めている。見に行ってないけど、そういう風景を期待している自分を感じる。 先日も書いたことだが、今年は(地元の政策も手伝って)花見人の数がやたらと多かった。朝、…

桜と毛虫たちの午後

先週の或るいっときを境に、外気が仄かな暖かみを帯び、蕾のまま留まっていた桜たちは天からの赦しを得たかの如く黙々と咲き始め、時を同じくして、枝の上で長く押し黙っていた謙虚な鴬(うぐいす)たちも次々と鳴き始めた。 或る晩、まどろむような外気に鼓…

ひばり

金曜日。 明日は名曲喫茶番だから、いささか寝不足だけど、早めに起きた。 窓を開けると、完全な、完全に、完全の春がやって来ている。それはもう、あまりに明白で、もっとも本来的な冬の寒さを懐かしむこともできないくらい、確固としてそこにいる。 春に、…

『ムーンライト』を観た

レイトショーで『ムーンライト』(バリー・ジェンキンス監督)を観てきた。 観賞後、感想を誰かに話したりせず、胸の内に静かに留めておきたいような類いの映画がまれにある。素敵な作品だし、少なからず心打たれたし、多くの人に観てほしいと思う。でも、そ…

白い雪(カール・フィルチュの音楽)

ルーマニアはトランシルバニア生まれのカール・フィルチュ。「作曲家」と呼ぶのも「ピアニスト」と呼ぶのもあまりしっくり来ないのは、彼があまりに早く夭折したことと無関係ではないだろう。でも、そのようなこちらの違和感とは無関係に、彼は偉大な「音楽…

コーヒーとクラシックと雨の総量

昨日から長雨が降っていて、今朝になってもなかなか小止みにならない。だからか、妙な冷えこみ具合だ。普段、食卓で暖房器具を点けることはあまりないのだけど、今日はサラダを食べながら思わず電気ストーブに手を伸ばした。 サラダ(サニーレタス、キュウリ…

『たまら・び』最新号

明日は、4月いっぴ。明日は、名曲喫茶為事日。 明日は……そうだ、雑誌『たまら・び』が書店に並ぶ日。 国立特集号。近辺の素敵な人/店/催しがたくさん紹介されています。地元の見知った店たち、見慣れた場所たち、懐かしい人たちも、本を通してみると、じつ…

4月になったら

4月が「すぐそこ」まで近づいてきている。日数的に言うならばあと2日。 4月になったら、ひと回り感をひしひしと感じるだろう。いつものように。 3月は終わりと始まりが交差する唯一の月。常人らしく、私はそう感じる。 1月も2月も3月も飛ぶ矢の速度で…

牧神の午後の午後

日曜日。渋谷『名曲喫茶 ライオン』に長く勤めていたWさんが来店してくれる。 Wさんは僕よりもずっと年下だけど、この業界(と言うべきか)においてはずっと先輩なので、いつでも少しばかり緊張が走る。自分の振る舞いとか、ターンテーブルに載せるレコー…

ペール・エール的

水曜日。久しぶりに近所をひた走ってみる。走ってみると、ようわかる。走ることは私のバロメーター、あるいはコンパス、あるいはメトロノームだ。 体力も気力も明らかに落ちていたことを身体全体でひしと理解できた。今年の夏は唯々暑がってばかりで、身体的…

大国魂神社で参拝・2016

個人的に、あれこれ転機を迎えているということもあり、母の提案で大国魂神社(府中)に参拝すべく赴いた。元日以来だから、10ヶ月ぶりである。10ヶ月前は鳥居の外まですさまじいばかりの長蛇の列が延びていたものだが(その繁盛ぶりは東京の神社でトップ3…

10月のまとめ

驚くべきことに、今年の10月は1日もブログを更新しなかった。ここ「はてな」というサービスでブログなるものを始めてから10年以上経つが、公開状態で1ヶ月以上更新しなかったのは何気に初めてではなかろうか。 なので、この空白の10月を「1ヶ月更新しなか…

押し入れの外は下高井戸

今日は久しぶりに涼しい。窓を開けていないが、それは確かだ。身体が秋らしい気温を喜んでいるのをひしと感じている。湿気の多い家の中でこれなら、きっと外に出たらさぞかし快適だろう。 ようやく夏は終わった。そういう実感がある。嬉しい、というよりほっ…

遁走曲「秋の朝に」

そんなタイトルを携えて、こけら落とし前めいた心持ちで、わざわざ時計のアラームを午前7時にセットしたのは、いつものように午前8時に起きると、身支度などでここでの記述に費やす時間が5分も取れないからだが、じっさい、こうして1時間ばかり早く目覚…

雨の喫茶店とブラームス「雨の歌」

《雨の喫茶店》 押し入れの中にいるので、定かではないのですが、どうやら小雨がぱらぱら降っているようです。「雨は、飲食店の来客率を5〜6割落とす」と一般に言われています。当方、かれこれ4年以上喫茶を営んでおりますが、そのようなmoodは「実感」と…

「明日から」という名の……

明日から、私がささやかに営む名曲喫茶『月草』営業3連チャン(月曜日は祝日のため)です。それについて何か記しておきたいことはあるか? と問われると、たしかにそれなりにたっぷりとあるようです。ですが、今日はこのまま倒れこむようにして眠るとします…

「十六夜の月(イザヨイノツキ)」を飲んでキリンビールの凄さを改めて感じた

久しぶりだった長い店仕事の帰り道、駅前のローソンに常飲している日本酒を買いに行ったら、品切れていた。で、代わりにキリンの新しいビール「十六夜の月」を買った。 私は昨日このビールに出会うまで、「十六夜」と書いて「いざよい」と読むことを寡聞にし…

『救い出される』を読んで(ふっと思った海外文学翻訳事情)

救い出される (新潮文庫) 作者: ジェイムズディッキー,James Dickey,酒本雅之 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/08/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る こんばんは。また暗く狭い押し入れの中に広がる漆黒の闇の中に戻ってきました。 先程、…

天国からちょっと出てみる

こんばんは。今晩は8日ぶりに、押し入れではない場所——自室の机の上——で記しています。 この自室もまったくもって狭いのですが、あの押し入れの中に比べれば、ずっと明るくて、広くて、空気が良い、とまでは言わないまでも、少なくとも「こもっていない」ハ…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(7)

押し入れ部屋での実験、あるいは挑戦、あるいは篭城(そんな大仰なものでもないが……)は今日も続く。 とろんとした暗闇の中で思い出しているのは、昨日、私がささやかに営む名曲喫茶によくいらしてくださる方に教えてもらったハードカバー。 無頭人(アセファ…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(6)

私事で恐縮だが、この日(9/11)の23時頃から床に着く刻の直前まで記されたはずの、たぶん約1000字程度の文書が、例によって私の過失により、一瞬にして雲散霧消してしまった。 先日、PCに保管していた10年ぶんの写真をひといきに消滅させてしまった時ほどの…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(5)

こんばんわ。 私は只今、名曲喫茶仕事から帰宅し、押し入れの中にback to mineしました。 ppppppp……。 うむ、今日はいささか疲れているし、いささか酔っているし、いささか憂鬱な気分だ。それは認めなきゃならない。疲れて、酔って、認めて、果たして何か記…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(4)

夕方、近所のみんな大好きお菓子店『foodmood』(カフェ併設)で母とともに頂いた「桃のシフォンサンド」と自家製ジンジャエール。 シフォンサンドは桃が見た目も味もともに瑞々しく、きめ細かい生クリームとしっとりとしたシフォンと絶妙なる三位一体を成し…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(3)

午前3時すぎ。押し入れにて。 ……。(18分経過) 何かしら記しておくべきことがあったか? と自問する。しかし、誰かの興を引くような小話は(今日も)ない。ただただ、夜中にセブンイレブンで買った飲みきり(500ml)ワインを半分飲んで、酔っぱらってる丑…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(2)

例によって、押し入れん中で記しています。 これまで、押し入れには文庫本や携帯ゲーム機やノートパソコン、あるいは酒瓶を持って気ままに閉じこもっていたのだが、先日、諸事情あって、愛用しているデスクトップPCとキーボードと、決して小さくはないモニ…

押し入れ部屋から〜From my closet to you〜(1)

そう、タイトルの通り、ここは押し入れの中です。 なぜ押し入れの中に居るのかというと、昔から押し入れの中が好きだからです。それを「胎内回帰願望の顕れ」とでも「いかにも引きこもり」とでも、「狭かったり暑かったりしない?」とでも、何と言ってもらっ…

百二記〜自分と名曲喫茶の生誕日に寄せて

おはようございます。 と言っても、ここには時間軸は(たぶん)流れていないのですが。ともあれ、窓の外は8月らしくじつに清々しい朝が展開しており、私は濃いどくだみ茶を静かにすすりながら久方ぶりにこれを記しています。 私事で恐縮ですが、先日、私の…

拝啓

ご無沙汰しています。お元気でしょうか。 ぶしつけですが、夏は時間の感覚がしょっちゅうわかんなくなります。ね。 最後にここに記したのは3日前だったか、それとも1ヶ月くらい経っているのか……。過ぎたはずの時間が見境なくひゅんひゅん入れ替わったり、…

五嶋みどりの奏でる音楽とは(6/20 六本木サントリーホール)

先日、待ちに待った五嶋みどりの演奏を聴くべく、六本木サントリーホールに行ってきた。 昨年NHKホールで彼女が奏でた、ドミートリイ・ショスタコーヴィチの魂がまざまざと現出し、その生々しい音が場内をひたひた満たしていった、幽玄そのもののようなヴ…

限りなく再会めいた再開の6月

ずいぶんとご無沙汰しておりました。 お元気でしょうか? 元気と信じております。私は、元気。だったのかどうか……正直、わかりません。何かしら記していないと、自分がどんなステイトアイムイン、おっとすみません、日本語で言うところの「状態」のつもり——…

イマソラさん

空ってば広い! 暗いけど。 今日、午後6時40分の空。日が長くなったから、もう少し夕暮れっぽい空に出くわすつもりだったが、走ってここまで来るのに思ったより時間がかかってしまった。 早朝、空が白みかけた頃の空も見はるかす素敵だが、やっぱり私は暗み…

青空とご無沙汰

4月に入ったので、10年目となる(たぶん)この徒然なるブログも日々咲き誇り、名残惜しさを断固拒否して散っていく桜の如く日々更新da……! などと、内なる静かなる青い炎をごうごう燃やしていた私ですが、そんな意気ごみとは裏腹に、せっかち気分とのろま気…

あたしの桜

4月が戻ってきました。 ようやく、という感じもするし。もうかあ、という感じもあるし、やれやれ気分も多分に含まれております。 この頃になると決まって感じるこの「ひと巡り感」は、きっとヒトを含む多くの動物たち(そして動物以外の存在たち)によって…

出かけようぜ!

4日ぶりの冴えない前口上から。 きっとここに記していないかったせいも多分にあるだろう。ここ数日の記憶はもやのように漠としている。昨日一昨日の自分が前世のように遠く感じる。 ともあれ睡眠時間が少なく、身体的疲労度の高い週末だった。昼夜にかけて…

優しさとは?

本日もまったくもって私事ばかりであります(ここでの記述はいつだって私事ばかりなので、今後このような前置きも止めよう)。 どうもこの1週間ばかり、気持ちがずぶんずぶんに落ち込んでいたようで。それにつられて体調も優れなかった。「心と身体は繋がっ…

走ることへの残り火

例によって私事ですが。 先月半ばから、私にとって唯一の有酸素運動・走ること(所謂ジョギングという行為)をすっかり休んでいます。なんのかんので10年近くコンスタントに中距離を走り続けてきた私にとって、これは結構な異例事態。ここ数日も、酒を飲んで…

春の小遁走曲(清水美紅さん原画展@cafe circusにて)

春が、もうすぐそこまでやって来ている。 などと記すことが無粋に感じるくらい、それはすでに無言のうちに周知されているようです。窓を開けると、あの息吹が五感をひしひし覆い尽くし、こちらを圧倒し、権柄ずくにぎろりと睨みつけ、次いで鼻腔と眼球を花粉…

2011年3月11日から

今日でまる5年が経ちます。多くの人が多くの場所で東北地方太平洋沖地震について何か記している、あるいは思いを馳せていることでしょう。それで、自分でも何かしら記しておきたくなって、それなら、ここに記しておこうと思いました。 とはいえ、僕などに何…

『夜月草』二夜め

先日の水曜日、『夜の名曲喫茶』を開けました。 夜営業は先月に続く2回目の試みです。その名称は『夜月草』あるいは『月草〜night interlude (間奏曲)』などと勝手に呼んでいますが、とにかく夜に咲き、深夜に閉じる月草のイメージです。 開店から4年め…

新春いっぴ

3月いっぴ。 毎年、「3月いっぴ」には何かしら初志表明を記したい、と思わせるmoodが漂っている気がします。 では、週単位のいっぴである「月曜日」はどうでしょうか。 月曜日には僕の名前とまったき同じ字が使われているのですが、とくにそういう感慨を抱…

冷たい川べりを思いながら

こんにちは。外気が春らしい波動を帯びながらも芯まで冷えるような寒さが続く今日この頃ですが、如何お過ごしでしょうか。 私はといえばここ数日、机に向かってやるべきことが多々あり、自室にほとんどこもりっぱなしになっているからか、ここに記すことがろ…

五嶋みどり生演奏(N響)について頂いたコメントへの返信

先程、以下の記事について頂いたコメント(rokuさん)の返事コメントを遅ればせながらせっせと記していたのですが、勢い余っていささか長くなりすぎ、コメント欄をはみ出してしまいそうなので(笑)、迷った末、そのまま本日の記事にさせて頂きます。ことを…

曇り空、ゆえにモーツァルト日和

おはようございます。ここ数日、子牛ともに、もとい、公私(公と私の区別はよくわからないが……)ともに忙しく、先刻3日ぶりにこのブログを開いてみたら、昨年記した五嶋みどりさんのショスタコーヴィチ演奏の感想記事にコメントを頂いていました。 初めてコ…

おやすみ in The LIMBO

今日も更新のための更新をしないといけない。俺は未だ中間地点に居るようだ。 今日は何曜日か? 水曜日か……とは言え、今日が何曜日かはたいした問題じゃねえ。 大切なことは「ここ」にいること。ここにいて、金輪際をしっかと意識していること。それだけだ。…

春の嵐後、犬牙狼藉

この5日間の記憶が無い。 比喩的な意味ではなくて、本当にろくすっぽないんである。 たしかに5日のうち2日は我が名曲喫茶に従事していたし、仕事の後、友人と移転したばかりの蕎麦屋さん(蕎麦粉9割)で御酒をきこしめしたり、揚げたての天ぷらを仲良く…

あの空こそは……

「何にも出来ない証拠です……」 小林秀雄は「おふえりや遺文」で書いていた(正確には小林秀雄の描いたオフィーリアが書いていた)。 今日も外気は骨の髄まで不敵にしみ込んでくるような冷たさで、足湯してても、うどん(舞茸と春菊入り)すすって御酒を呑ん…

熱き恋コーヒーによってもたらされる覚醒と安寧の火曜日の朝

今朝は「猫とコーヒー」という、いかにも幸せ感と安寧感に溢れた写真とお題でお送りさせて頂きます。 しかしながら、今の私の心中と気分は、それほど穏やかってわけでもない。どちらかと言えばとがりつつもウツウツとしています。猫とコーヒーにどうにかこう…